正しいと言えば、この冬の最初の雪だ。
朝起きた時はまだなにも感じられないぐらいけど、今は結構降り積もった。
先日、この窓から外を眺めてた時見えたその落ちている枯葉の木々は、もう随分禿になって、細くて空に伸びていた枝たちを、今少しに雪が白くしちゃった。
空色もグレーの白で、まるで雪に染められたように。
そう眺めながら、あぁ、本当に冬だ、っていう実感がどんどん出ていく。
冬といえば、やはり雪、っていう感じ。

記憶より、確かに去年もこの頃初めての雪が降った気がする。
十二月、もう一年の最後の一ヶ月なんだ。
ふと思いかけたのは、以前覚えてきた雪を描く文句、詩歌とかなんとか、本当にたくさんある。でも本気でそれを思いだしてこの雰囲気にぴったりしようとすると、失敗だ。気がついたら、以前はすごく気に入ったあの文句たちは、今もう散々忘れて、ただほんの少しかけらみたいなものしか残らなかった。

情けないな〜
人間の記憶は、不思議だね。

覚えたものに比べて、その忘れてたものには、結構不公平だよな。
それに「忘れたいもの」もあるといえば、もっともそういう気がする。
時々は覚えたいものをかなり容易く忘れて、その時間をゼロにする。
でも反対に結構頑固な記憶もあり、どうしても消せない。
これはいわゆる「優しくて残酷、弱くて強い」ということかな。

まぁ、私自分にとってそんなに真面目な問題じゃないけど。
忘れたいなら、忘れようよ。
誰かを傷つけたらあやまってもいい、でもけして後悔をしない。振りかえることをしないから。
好きなことはいつまでも好きっていうことはけしてできないけど、嫌いものは反対に、いつまでも、ずっと嫌いなままで生き続ける。
って、随分、薄情だよな。
すまないが、これが私だ。

窓の外は、雪はまだ降り続けそう。
風がちょっとだけで、天気は先日より暖かいんだ。
誰かと寄り添って眺めてることはないけど、幸せな気分がなんか出ていくとは確かに間違いない。
雪が好きだ。
こういう場所でそれを見ていることがもっとも好きだ。
舞い落ちた細かい雪の華、それは、心の寒い冬へ、幸せな音を送ってくれた唯一なもの。
だから、雪が降ってきた風景に、お祈りをいたします。

生まれた悲劇を受け入れますように
夢も、現実になる